済・高円寺駅前皮膚科 | 日記 | 足と汗と水虫と:白癬菌・雑菌・汗疱 ─ 肌荒れの理論?皮膚科学(9)
2015/08/16
足と汗と水虫と:白癬菌・雑菌・汗疱 ─ 肌荒れの理論?皮膚科学(9)
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足の肌荒れ ─ その位置づけ ・足は人体中心から最も
遠い 部位です。起点が心臓でも頭でも。でも起立歩行し始めて、
── それだけにいろいろ実は、デフォルトで守られているとも言えそうです。
1.皮膚が丈夫: 特に足の裏は、角質も表皮も真皮も厚く、外的侵襲に抗い。
2.筋肉が強い: 特に太ももは、強い。先っぽの足の指も、歩く機能を具え。
3.神経が太い: 太いい神経が脊髄の錐体路を経て届き、パチニ小体もあり。
4.血管が……: 実はこの辺がウイークポイントな気もしますが。欠陥あり?
・院長、得意なのは皮膚だけなので、細かいことは知りません。特異的な標榜科開業です。
とにかく足は強いです。歴史的には、むしろ後天的に守るようになったのでしょうが、
── もしかしたら、表皮や角層を厚くしたがゆえに、
荒れる こともあるのかも。
・足に特異性の高い皮膚病は、実は沢山あるのです。それを理解するためにも、
★
もともと厚くて強いはずの皮膚 と ★
強いが故に曝される苛酷な環境 をどうぞお忘れなく。つまり、あんまり強さを過信してると、いろ
いろ 来たりします。
・痛みなら
タコ・ウオノメ や
マキヅメ とか、痒みなら
ミズムシ とか来たりしますか。
そういえば水虫の詳しい話、実はまだしてませんでした。
爪白癬 だけでしたね。
・足を、ひいてはカラダ全体を健康に保つには、まずこの辺から始めてまいりましょう。
●
水虫 みずむし ─ その一部に過ぎない白癬 はくせん ・水虫には世間一般の通念に従う「広義」のと、皮膚科でいう「狭義」のとがあります。
世間一般では、足の浅層炎症性皮膚疾患に由来する諸症状を「水虫」と総称しています。
★
広義の水虫≒「足の辺が痒く、皮がむけ、じくじくする」という
症状 ★
狭義の水虫≒「皮膚糸状菌(角質寄生に特化した真菌)感染症」という
疾患 ・つまり患者さまにとっての水虫(という症状)は、足白癬によるものとは限りません。
自身で薬局に行ってミズムシの薬を買って塗って、上手くいけばむしろ運がいい方です。
そして皮膚科医にとっても、菌を見つけて殺せば終わり、というほど簡単でもない。
・原因も病態も予防も治療も
全部わかっている とも言える病気が、なぜ君臨し続ける?
ここまで素性を明かしてる皮膚病ってほかにあります?お控えなすって夜露死苦ぅ。
・湿疹?蕁麻疹?アトピー性皮膚炎? 麻疹風疹水痘マラリア、束になって熱が出て。
要らんなう癌効かせてバラライ蚊。みゆきララバイ、哲夫グッドバイ。陽水ググっばい。
── 有史以来のわが友、その長寿の秘訣はヒト様との
平和共存 にあるようです。
●
足白癬と趾間びらん症 ─ 真菌の水虫 ・足白癬の有病率の高さには
皮膚糸状菌 の奥ゆかしさ、が大いに関係しています。
表層の
角質 =死んだ細胞、のみを栄養源とし、宿主=ヒトに与えるダメージが小さい。
その正体はカビ、と大昔から特定されつつ、天然痘ウイルスほど忌み嫌われはせず。
・現代皮膚科は真菌に始まり、現代大相撲は栃若に始まる。妙に
親近感 が強いのです。
白癬は
若乃花 で
栃錦 は…って
カンジダ。正攻の力と奇襲の技が当意即妙に鬩ぎ合い、
そして、力と技をまとめ上げる
柔軟性 は、優れた相撲取りに共通する美徳です。
・大相撲はいま、白鵬時代となって久しいですが。柏鵬時代も忘れないでね。柏どーも。
でも個人的には、柔らかい力士、で真っ先に浮かぶのが大鵬、貴ノ花、栃赤城?…
・見方によっては白鵬関は見事なまでの大鵬関の生き写し、とも思われます。大横綱には
模倣犯が現われるのでございます。だから容疑者、挙げてくとこから始めましょう。
んまテキトーなこと言ってると、…協会から何か言われそで、許してちょんまげ。
★
足白癬 tinea pedis ← 皮膚糸状菌
・真菌が角質を栄養源として繁殖すると、表皮以下に排除機構が種々の程度に起動します。
(1)
小水疱型: 指趾や土踏まずなどが痒くなり、汗疱状
↓の小水疱ができます。
(2)
趾間型 : 足趾の股が痒くなり、紅斑から多房性水疱・びらんに至ります。
(3)
角化型 : 痒みはなく、足底の接地面、特に踵を主体に角質が肥厚します。
・免疫系の発動具合は、(1)≒(2)≫(3)、というとこでしょうか。痒みでわかります、か。
しかし(2)の趾間型、いうのは一番水虫らしいのに、一番てこずるのでございます。
★
分芽菌性指趾間糜爛症 erosio interdigitalis blastomycetica ← カンジダ菌
・詳しくは
古い日記 を~にょろ・ぴく。普通は手ですが、笑って許して和田アキ子。
しかし趾間型の水虫を顕微鏡でよーく見ると、ときにカンジダぽいのがあります。
・皮膚の表層が
顆粒層~有棘層 あたりまで、剥けた状態を
糜爛 びらん といいます。
物理的に強固な角質というバリアを欠き、免疫担当細胞がもろに外界に曝されるので、
二次的な傷害や炎症 が起こりやすくなります。下手に抗真菌薬など塗れません。
・つまりマタマタ
指趾 の股、蒸れるところは擦れるとこ。
間擦疹 (何度目ー?)です。
四肢の股なら
四股 踏んでチョ、ってどんだけー?炎症ムレムレ、剥ければ桃色です。
ちなみに角質が白くふにゃけた状態を
浸軟 しんなん と呼びます。ね? センセ。
・そこには真の菌から細い菌・雑な菌入り乱れ、まとめ上げるヒト様にも疹も心もあり。
治療するにも、病名で機械的に薬だけ選ぶんじゃ、上手くいくはずありませんのよね。
そこは陽気に脳天気に、容疑者たち・模倣犯、連呼してまいりましょうか~・~・。
●
趾間型紅色陰癬と点状角質融解症 ─ 汗と雑菌の水虫 ・趾間の皮がむける、というのは何かと気にされる方が多いようです。しかし。
その辺の薬局さんで水虫の薬買って、すぐ塗る。…のだけは、やめてチョって揉んで。
おっと、これ言ってまうと、ただでさえ少ない売上がまた減ってまう。見ず無視!
・次は
コリネバクテリウム Corynebacterium という、ちょっと嬉しい
グラム陽性桿菌 の雑多な仲間たちのお話です。皮膚の
常在菌 ですから、ただの容疑者に過ぎませんが。
それでも長い歴史の中で、日頃の行いを観察され、悪い奴と認定されました一応。
・お好み次第で
ジフテロイド (ジフテリアっぽい)とも呼ばれますが。ただ日本では
本家 ジフテリア Corynebacterium diphtheriae は DPTワクチンのおかげさまで死後
の世界入りつつありますが。それでも懲りねえ奴らは、しぶとく定着し続けてます。
・コリネの仲間たちは
発汗 により増殖し、皮表の
角質を溶かし劣化させる という形で、
その
病原性 が概ね認められているようです。 どうやってるのか存じませんが、
あの硬い角質が溶けるのです。 溶解妖怪なんか容喙、陽気に融解そうゆうかい。
★
紅色陰癬 erythrasma ← コリネによる間擦部位の角質劣化に基づく潮紅
・コリネ一派が主犯格を務める
間擦疹 を、紅色陰癬 こうしょくいんせん と呼びます。
陰股部・腋窩や趾間に好発し、赤くカサカサして痒みはなく?ときには痒くもなります。
ただし、ただれはしない=浸軟しても
糜爛はしない、のが本来の姿とされます。
・懲りねえ奴らはブ菌や溶連菌と異なり、好中球を主体とする免疫系の発動は促さず、
角質を溶かしつつ繁殖するだけです。 白癬やカンジダはときどき膿疱を作りますが。
コリネが増えても、膿がたまり びらんに至る
膿痂疹 のうかしん は生じません。
・診断はまず視診で疑い、ウッド灯という 紫外線 や培養で確定することになってます。
白癬やカンジダによる間擦疹と比べて、
炎症所見が弱い のが特徴といえば言えます。
趾間紅色陰癬は世間的イメージの水虫そのものですが。じくじくも痒みもない、と。
・しかしウッド灯にしろ培養にしろ、本当にコリネを病原体とする証拠にはなりません。
また
痒い とか痒くないとか、そういう微妙なトコ突かんでおくれな、もしもし。
・そうゆう場合、コリネを殺したり減らしたりすることで、その疾患の
症状がなくなる のであれば、コリネを病原体と認定して良かろう、という考え方が一般的ですか。
・そこで
抗生剤=抗細菌薬 を塗ってみるわけですが。治らんこともあるんですなコリが。
★
点状(陥凹)角質融解症 pitted keratolysis ← コリネによる足底の凸凹
・コリネ一派が主犯格を務める
足底のデコボコ に、誰かが病名をつけてみました~。
・紅色陰癬のインキン、じゃなかった陰険さに比べて、こちらはすかっ、と気分爽快。
抗生物質の外用 がよく効く 病気です。コリネも強そうに見えて意外に薬には弱い。
塗ってきちんと治れば病原性確定しますか。 容疑者から犯人に格上げでっせ。
・診断は足底角質の凹凸 おうとつ の具合をみて、ほぼ視診で完了します。参考所見は、
足の裏の微妙な湿り気と香りです。何というか
綺麗に 凸凹 でこぼこ してるんす。
・あそっか、やっぱ培養した方がヨカすかね。 性急に効くのがハッピーな アクアチムR。
・しかし薬の助け借りなくても多汗を抑え風通しを良くするだけで、わりと治りますのよ。
ゲ○タシ○のクリームで思い出すTさんメールありあっす。当院は
Dチューブ ありやす。
あたしと真夏とスパイス。何を言いたいのかと申しますと、夏は
除湿と抗菌 です。
・趾間のジメジメに比べれば、足底の硬くて厚くて強い感じ、あたしゃ好きでっせ。
★
対側性蒼紅症 symmetrical lividities of the soles of the feet ← 汗
・多汗症の方の足底は、なんとなく
潮紅 が強くなります。原因はよく判りませんが、
(1)
汗 のもとになる血流を増やす必要上? (2) 懲りねえ奴らに対する
炎症?
あたりでしょうか。たぶん諸説あるのだと思いますが、どうでもいいようにも。
・そんな中で、丘疹ないし小紅斑状に
ぶつぶつ と 足蹠 そくせき=蹠 あしのうら が
赤くなる病態に、妙な病名を付けて発表した方がおられました。
対側性 が特徴です。
ただ、その形容詞 livid は特殊な単語のようで、日本語に翻訳できません。
・どうも法医学上の屍斑を表現する色のようです。どす黒い、という感じ?せんす悪。
院長が診た方々は、ちゃんと綺麗な赤でした。治療はDチューブ?たぶん効きます。
・むき出しの樹状細胞に、ただでさえ
敵 と見なされやすい抗菌薬を塗ればどうなるか。
さらに
耐性誘導 の問題もありやすから。ゲ○タシ○もほどよい濃度で、菌は死なずに
耐性の菌トレと、アミノグリコシド系の感トレと。ま、
基剤 がエエからイっか~。
・その昔、たいそうお世話になりましたのが、テルビなんたらいうクリームとRVG軟膏、
Mazeru って超絶処方でございました。 IセンセやKセンセも懐かし厚○方面の病院様で。
病気だから治ればいいですが。 コリネだけが悪者って?何か違うようにも思う。
・厚き心に~時を重ね~懐かしい思い。そもそも抗生物質は
塗ってイイ薬 なんですか。
テキを 殺る つもりで、いつのまにか自分が、
容疑者扱い、ってことはないですか。
また
ニキビ の薬も
湧いちょる ようですし。 ─ またずれ
引きずり 乾杯ちゃん。
●
汗疱と異汗性湿疹と胼胝性湿疹と ─ 汗と湿疹の水虫 ・表皮内にできる小水疱を、
汗疱 かんぽう と総称します。アレちゃう?そうっしょー?
なんとなく、だから汗疱状白癬いうんでしょ。土踏まずあたりに水疱や…ぶつぶつ。
・その辺のお医者さん(オレオレ)が口走るとき、結構困ってるんで。チョって揉んで。
おっと、あんまり
ぶつぶつ 言うと、少ない売上がまた減ってまう。 見ず無視!
・汗疱の中身は、汗であるとも炎症性滲出液であるとも言われてます。まあ、血漿成分、
みたいなものでしょうか。汗も血液から作られるので、似たようなものですか。
★
汗疱 pompholyx ← さまざまな原因による掌蹠の小水疱
・この病名で呼ばれる病態は、炎症性のものと形成性のものに二分される思っちょります。
★
炎症性汗疱 ≒ 湿疹皮膚炎型 → 白癬、異汗性湿疹、id疹、掌蹠膿疱症、…
★
形成性汗疱 ≒ 汗孔閉塞など → 狭義の汗疱、周期性掌蹠落屑症(
↓)、…
・ま炎症性なら
痒く て形成性なら
痒くない ?てまた微妙なトコ突くーあたたたひでぶ。
あんまり文献で当たったことナイツが、正拳で突けば、もしくは生検すれば、結構な
違いがあったりすんじゃね、と勝手に想像したり。 開業医では
生検 せんけん~・。
・肉眼では見えないレベルから始まって、ときにブツブツ、ときにザラザラしつつ。
整いましたら、わりと立派な多房性水疱(炎症性に限る)で もはや
海綿状タイ。
・U先生のマイナーな皮膚科学の白黒写真が、撮らうまです。 ─ ぜひ見てちょんまげ。
★
周期性掌蹠落屑症(?今つけた) ← 形成性汗疱の祭りのあと
・汗疱はいずれ乾いて、その部分の角質が剥けます。なんだかんだで同時多発性なので、
結構広い範囲にべろんと剥けることが多いようです。痒くないのが特徴でしょうか。
ひととおり脱皮すれば元に戻られる方が多く、とりあえず置いとくしかないような。
・多分に
体質 に影響されるようで、汗孔=汗の出口、が詰まるのでしょうか?詳細不明。
病気とは言い難く?ちゃんとした病名は見たことない。私が知らぬだけか放っとけや。
わりと
周期的 に来る印象があり上記命名。初夏に多いですが秋や冬にも来ます。
★
異汗性湿疹 eczema dysidrosiforme ← 炎症性汗疱の祭りの最中
・汗疱には痒いのもあり、足の裏にできれば見た目は本当に白癬と違いません。
白癬いれば抗真菌薬ガイヨーですが。 菌がいなければ、
塗っていい薬 ありま
ステ。
塗らずに置いとくと、ついつい手が行って掻き壊して。痒みは奥深いもんでステ。
・炎症性汗疱は、なんかアレルギー的な反応の結果生じるのでしょう。 実はけっこう、
はっきり原因判るらしいっす?サトちゃん任せた…象 → 最終回。当院では10月以降
かな。
原因特定 に至らない時は異汗性湿疹と呼び、適度にいい薬塗ってまステ。
★
胼胝性湿疹 eczema tyloticum ← 炎症性汗疱の??なれの果て
・炎症性汗疱もいずれ乾いて、剥がれた角質(鱗屑)が気になり、痒みも気になります。
角質を毟ったりバリバリ
掻いたり 人為的な侵襲が加われば。生体はそれにまた対抗し、
新たな
ケラチン を生み。暑い夏に熱い確執の果てに厚い角質が黄色く堆積します。
・足が痒くて
皸 あかぎれ 赤切レ ができる人には、意外にこの疾患が多いようです。
似た臨床像を呈する疾患に、毛孔性紅色粃糠疹や尋常性乾癬、掌蹠膿疱症などなど。
・なれの果て?ですから辿る足跡もいろいろアリ。湿疹にはかゆみと掻き壊しが必須、
という観点で診断します。原因不明?涼しくなればサトちゃん象の
出番 あるカモン。
治療は対症療法と根気、でしょうか。当院では多少の
秘密兵器 も駆使します。
●
外用薬 ─ 愛と死の塗り薬をみつめて ・まあ一口に水虫といっても、容疑者いろいろおるのです。治療はオーダーメイドです。
・
皮膚科は塗り薬=外用が命です。大雑把に見て、
有効成分と基剤、からできています。
最近の中の人、つか上の人の考えでは、基剤は見ず無視!(
ジェネリック いいます)
ということなんだそうです。変な基剤じゃ溶解度も上がらなくね?そうゆうかい。
・一方で有効成分の
濃度、いうのもありますし。そのうちニキビの薬も濃度勝負 すか。
そして濃い薬にはそれなりのリスクがありますが、クレなんたらは大丈夫そうね。
・開業医としても、そろそろ考えて参りたい医療費削減ですが。まテキトーがイーよー。
●
足の水虫のまとめ ─ 当院の取り組み ・なんの成果も業績もございませんが、いちおう専門分野は、心情的に真菌感あります。
・見ず無視!を連呼したいのはやまやまですが、眼鏡も新調したしよく見てまいります。
★参考作品
・
大相撲番付表:日本相撲協会 ・
アジアの純真:PUFFY♪ 井上陽水奥田民生♪ サーキットが一番のびーとるす。
・
シコふんじゃった。:周防正行と仲間たち もっくん美砂ミサ、竹中・柄本に田口。
・
模倣犯:宮部みゆき(未読) なんか積ん読。
・
ボーン・オン・ザ・バイヨー Born on the Bayou:クリーデンス♪ ゴールド。
・
桃色片想い:あやや♪? 桃色吐息ちゃうわ。マリーだね、ジョニーだろ。
・
熱き心に:小林旭♪ 最近カラオケ行ってないな。ださないと声がでんわ。
・
北斗の拳:だれ?(未読) アニメはチラ見したわ。ひでぶ。ぐわし・かずお。
・
祭りのあと:よしだたくろう♪ 元気です。と。高円寺もあったねそういれば。
・
陽気な容疑者たち:天藤真 150819追加:
リンクを一つ修正・二つ追加しました。
引き続きお役立ていただけますよう~・お願い申し上げます。
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