済・高円寺駅前皮膚科 | 日記 | 脂漏性皮膚炎(フケ症)、酒さ(赤ら顔)、ざ瘡(ニキビ)、… ─ セボレア 脂性 の理論皮膚科学
2014/04/22
脂漏性皮膚炎(フケ症)、酒さ(赤ら顔)、ざ瘡(ニキビ)、… ─ セボレア 脂性 の理論皮膚科学
前回は足を熱く語ってしまったので、今回は翻って、てっぺんの方をクールに?語ります。
●
皮脂腺と脂漏=セボレア Seborrhoea ・院長、アブラしょう(性?症?)で困っております。トシとって枯れてはきました。
よく枕カバーが脂っぽくなって、母親を困らせた=二度洗い、ものです。
がなぜか。 脂性の病気の筆頭であるニキビ(ざ瘡)の経験は、ほぼ皆無です。
逆に、最近は脂漏性皮膚炎(顔の湿疹)に見込まれ、現在も共棲してます。
今回はそんな、謎に満ちた
皮脂腺と関連疾患に、ゆる~くイイカゲンに迫って参ります。
・
脂性によく効く!? イオウカンフルローション という脱脂薬があるのですが、
劇薬に近い薬、かもしれないため、実は自分では、あまり使ったことがありません。
経験上、背中ニキビにはかなり良いように感じています。 お試しあれ。
ちなみに、市販のニキビ薬では、いまだに
硫黄 イオウ Sulfur は人気です。
・何が劇薬に近いのかというと、アブラ症はアブラを取ればそれでよい、わけではない。
皮脂は表皮の
バリア機能の生命線であり、いくら皮脂が余ってるように見えても、ただ
あぶら抜けばよい、でもなさそうです。(抜けばよい事例もあります。)
・皮脂腺と皮脂の分泌が
病的な結果にいたる状態を
脂漏 しろう seborrhoea と言います。
教科書を見ると、その代表が上記にあげた三疾患であるわけです。
・皮膚そのものと皮脂腺という付属器と、を巻き込む複雑さがソソリます。がもともと
あまり系統的な概念でもなく、なんでも「
ストレス」にされかねないのでご注意を。
個人的には、大きな問題点は四つある、と考えております。
★
マラセチア ★
物理的刺激 ★
異物反応 ★
自然軽快 ●
ニキビはなぜ頭にできないのか? ・本来のニキビの好発部位は、
ほっぺたと
おでこ、です。これが「大人ニキビ」になると、
むしろ後ろ寄りの
生え際{耳前部、顎、口囲など)に分布が変わってきます。
フェイスラインとも言うようです。(何語?)
・ニキビは
面皰 めんぽう (皮脂と垢を貯め込んだ毛包)から始まりますので、
コドモとオトナでは毛包脂腺系の分布のしかたが変わる、のでしょうか。
・もともと皮膚
付属器の分布密度には、
部位による大きな差があります。
例えばエクリン汗腺なら、掌蹠(手汗)や腋窩(ワキ汗)に多く、精神発汗も敏感です。
毛はさらに差が激しくご存知のとおりです。 (精神発毛、には期待ウス毛。)
・毛がもっとも密に分布する頭には、本当の意味?でのニキビはできません。
毛が生えれば皮脂の
出口が確保されるから、なのだと思いますが、よくは存じません。
頭にできるブツブツは、毛包炎、といって厳密にはざ瘡とは別の病気とされます。
●
フェイスラインとTゾーン ─ レディのお悩み ・皮脂腺は「
毛包脂腺系」というひとつのユニットをなしています。 では、
毛のないところには皮脂腺もない、のでしょうか? 正しくもありなし。
─ ほっぺたにはあまり毛が生えませんが、皮脂腺はたんとあります、が何か。
・一応、にきびの主座は「
脂腺性毛包」というようですので、ご銘記あれ。
ひと言で言えば、生えるほどの
毛がない毛包脂腺系のことです。 毛がない以上、
─ 脱毛レーザーへの期待はうすげです。(適当に言ってますのでご勘弁。)
・若年時には、顔の毛包脂腺系には
産毛 うぶげ がめだちます。
色気づく思春期には、産毛はむしろ退縮して、悩みの種にしかなりかねません。
・顔(皮脂腺)や髪(毛)やネイル(爪)といったレディのお悩みは、
皮膚科学的にはぜんぶ付属器であり、余剰なプラスαでしかない…とも言えます。
露出部位であることが共通しています。 … 大切な、なにかを見失ってません?
いちおう、イケメン/アイドルもてはやす世間さまには、苦く
冷たく感じてます。
・Tゾーン(何語?)は一貫してうす毛ですちなみに。院長も引き続きテカってます。
当麻紗綾のように「×××」とリキんで念じたけど無駄でした。ただの冗談です。
だけど、「あきらめないで(何語?)」 … 答えは、すべて
日本語です。
●
脂漏性皮膚炎 ─ 皮脂は皮膚炎の原因になるか? ・皮脂が原因とされる頭や顔などの湿疹を、脂漏性皮膚炎≒脂漏性湿疹、と言います。
・いわゆる「
ふけ症」の原因疾患として最多のものです。
・皮脂腺の最も密な
頭皮に好発し、炎症のせいで turn over 入替が亢進した表皮、の
カス=
落屑(はがれ落ちた角質)が、フケとなります。 つまりフケそれ自体は
自然のもので、さほど不潔でもありませんが、きちんとした洗髪は必要です。
・洗髪は1日1回、“適度”に皮脂を落としつつ、爪を立てずに優しくして下さい。
・顔には毛がなくても、脂腺性毛包は密に分布しているので、やはり好発します。
特に鼻のきわ~
鼻唇溝(「ほうれいせん」とも言うようです。何語?)では、
皮脂がたまりやすく落ちにくいためか、入院中のかたなどよく赤くなってます。
・洗顔は1日2回、“適度”に皮脂を落としつつ、こすり過ぎないよう優しくして下さい。
── あくまでも私的印象、ですが、フケ、アカ、
落としすぎ、
よくないです。
●
脂漏性皮膚炎?湿疹?の原因 ─ 皮脂を好む常在真菌=マラセチア… ・なぜ皮脂の分泌が多い「脂漏部位」に皮膚炎が好発するのか。 私が医者になった頃、
すでに、
それが答えだ!というべき説が世を席捲していました。
・表皮には
マラセチア、という酵母状真菌(
カビの仲間です)がたくさん常在しています。
脂漏性皮膚炎のある方では、明らかにこの菌の分布が増えていました。
また、マラセチアを殺す/減らす薬で、脂漏性皮膚炎が有意に改善しました。
・マラセチアはたいへんにアブラを好む菌である、これは今や周知の事実です。
いいかげんに言えば、この菌が食べた(代謝)アブラが、刺激原に変わると。
ちなみにマラセチアは
常在菌のため、「感染症」ではなくひとにはうつりません。
●
脂漏性湿疹?皮膚炎?の治療 ─ ステロイドとケトコナゾールと… ・脂漏性皮膚炎の治療はかんたんで、炎症ですから
ステロイドです。表皮なら
塗り薬です。
・しかし、もともと「脂性」という体質による疾患であるが故の、
禍根を残しはせぬか?
ステロイドはセボレアを悪化させる方向に働き、長期連用の副作用も懸念されます。
・現在では
抗真菌薬である
ケトコナゾール(ニゾラールR)が、堂々たる保険適応薬です。
またミコナゾール硝酸塩(フロリードR)も市販のフケとりシャンプーに含まれてます。
・しかし、これが答えだ!とニゾラールを処方するのには、わりと勇気がいります。
しばしば痛い目に遭いました。あくまでも患者さんの
肌質しだい、の薬です。
・それでも処方し続けるのは、長期に連用しても副作用のほぼない“安全な薬”だと思い。
痛い目に遭われた患者さまには、ごめんなさいどうぞお許し下さい、と申しておきます。
・つまり、この病気をただ「皮膚炎」とも言い切れないように感じるのは、
マラセチアばかりを悪者にできない、「非特異的」な
何かを感じるが故であります。
── 原因を特定しきれない「皮膚炎」は、「湿疹」と名を変えます。
・とくに「化粧」や「こすり癖」に起因する、
物理的刺激は重要に思われます。
・生活指導や洗顔法/化粧法など重要でしょうが、とりあえずワキにおいて薬に限れば、
湿疹・皮膚炎群(
表皮を主座とする炎症)の治療は、塗り薬でまかないたいものです。
ケトコナゾールを超える、安心して使える外用薬(の保険適応)が望まれます。
セボレアの奥は深く、表皮レベルで力つきたため、続編をお約束していったん終了します。
● 酒さ≒赤ら顔 ─ “体質”と慢性炎症
・酒さは、おもに頬と鼻に発症する慢性炎症性疾患です。けっこう謎の病気です。
・その成立には“体質”、とくに脂性と毛細血管拡張が深く関与します。…
● ざ瘡≒にきび ─ 多様な炎症の形:尋常性、膿疱性、嚢腫性、集簇性、…
★今回の漢字検定
・ひるがえる ・皆無 ・あご ・ごかんべん ・席捲 ・禍根 ・懸念
本稿と関連の深い
日記 を列挙させていただきます。お時間の許す限りご参照下さい。
・
湿疹・皮膚炎 ─ 理論皮膚科学の第2か3章・
皮膚の付属器の疾患 ─ 脱毛、にきび(ざ瘡)、巻き爪(陥入爪)、などなど 140530更新: 本稿と関連の深い
日記 を追加しております。どうぞご参照下さい。
・
しゅさ(赤ら顔)、ざ瘡(ニキビ)、脂漏性皮膚炎(フケ症)、… ─ セボレア 脂性 の理論皮膚科学・続・
ざそう(ニキビ)、脂漏性湿疹(ふけ症)、酒さ(赤ら顔)、… ─ セボレア 脂性 の理論皮膚科学・新・
ざ瘡(にきび)─ セボレア 脂性 の理論皮膚科学・完 :そして、慢性膿皮症と粉瘤(ふんりゅう)
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