2015/05/31
癜風など：体幹の肌を考える　─　肌荒れの理論？皮膚科学(8)


●背に負い、胸に抱き、腹にモツ ─ 体幹 たいかん／躯幹 くかん とは　
・院長プータローしてた頃、背中に何かデキたことがあります。ひとつの寝椅子でずっと、
　日がな一日過ごしていた者です。1cm 位のカサカサ～ボコボコが多発し、痒みはない。
　　　その後健診が必要になりました。 ひと目見た内科医？曰く 「こりゃカビだな…」
・のちに皮膚科医の職を得て、それが誤診であることにますます確信を強めています。
　　　しかし心残りなのは、その発疹、自分で見てないんですな。確診はつきません。
・背中は自分で 見られません。 自撮りっていうの？できます？あたしゃ地鶏の方がええ。
　　　リンダ・ブレアの見ていた風景、興味はありますか。いかんまた湧いてきて待った。
・ペンフィールドの脳地図、とかいうんでしたっけ。頭と手足だけでかいホムンクルス。
　それより体幹きたえて下さい。ワ○ダ×コアというマシンすか、え？ラ○○○○？高そ。
　　　一度も鍛えたことない、わだくしが、えらそに、言うことじゃございませんが。

・体幹 とは躯幹ともいい、人体の 突出部を除いた部分 を指す。わりと微妙な概念です。
　　★背部：　ざ瘡≡背中にきび、色素性痒疹、癰、癜風、ケロイド、摩擦黒皮症…
　　★胸部：　ざ瘡≡胸にきび、癜風、ダリエ病、ケロイド、乳房下間擦疹／カンジダ…
　　★腹部：　ニッケル皮膚炎、腹部間擦疹／カンジダ、皮膚萎縮線条、ジョセフ結節…

・一方 かってにシロクマ、自分の得手勝手に、次のようにも分類してみています。
　　１．体幹の感染：　毛包炎、癰、癜風、カンジダ症、ウイルス性発疹症、梅毒、…
　　２．体幹の炎症：　薬疹、多形慢性痒疹、天疱瘡、尋常性白斑、形質細胞症？…
　　３．体幹の腫瘍：　表皮嚢腫、神経線維腫、基底細胞癌など、乳房 Paget 病…
　　４．体幹の過剰：　ケロイド、扁平母斑、刺青、浮腫性硬化症、肥満細胞症？…
　　５．体幹の欠乏：　白皮症、尋常性白斑、皮膚萎縮線条…
・前回分 に比べて、にょろりと１項目増やしてある点については、下記をご参照下さい。
　いくつかの疾患に関してはべつの機会に。一方、既に 日記 に織り込み済みのもあり。
　　　引き続き リンダ リンダ ～ リンク♪ もご活用下さい。甲もっと拾っとけ屋って。
・腋窩や鼠径部や臍は体幹ではないのか、そのへんに興味がおありの方は マタ どうぞ。

・体幹の皮膚病を考える際、まず気づくのは面積が 広い ということです。すなわち、
　均等に分布する病気があるとすれば、頻度的にはダントツのトップ張るはずです。
　　　しかし、さすが体幹というだけあって皮膚が 丈夫 なので、病気は少ないんだわ？
・均等分布の皮膚病といえば、ホクロ＝母斑細胞母斑、あたりを始めとしていろいろ。
　　　湿疹（アトピー性皮膚炎？含む）、痒疹、中毒疹、白斑、帯状疱疹、粉瘤、とか。
・今回は、体幹ならではの病気と肌荒れを考えましょう。せめて人間らしく二本足で立ち。
　　　立ったらガタ方ら、体が宝だった。 ── こういうのを喜劇／悲喜劇と言うようで。


●癜風 でんぷう ─ マラセチア＝真の菌の感染症　
・まずは体幹以外にはあまり出ない肌荒れの筆頭として マラセチア 再び召喚しますか。
　脂質を好むカビ（真菌）で、通常は酵母様に丸く、活きがよいと菌糸様に発育します。
　　　顔と頭の 脂漏性皮膚炎 への関与が注目されましたが、これは感染症とは言い難く。
・そこ突っ込み始めると、また 感染症 やら 常在菌 とは何か、わいてきて舞うので、
　　　とりあえず、ケトコナんたらいう抗真菌薬、効きがいまいちやなあ、とでも？
・一般論として、胸と背中には毛包脂腺系が発達しやすく、脂好きの餌食となります。
　マラセチアいう名の脂好きは毛包内の皮脂をよりどころに、普段は平和に暮らしてます。
　　　ところが毛包内は皮表につながってるので、条件さえ整いましたら、どこにでも。
・とくに 夏、汗 をかきやすい方の体のシミは、まあ、お若いほど？癜風をお疑い下さい。

・体幹に類円形～地図状に広がる褐色斑や白斑を見たら、我々まずは 癜風 を考えます。
　だって検査して ニゾラールR も性急に効くし。イトラコナんたら、最近お見限りね。
　　　詳しくはきちんと、いずれまた蒸し返したいように感じております。バイYO！～～
・あまり痒みはなく、さほどカサカサもせず、一見なめらかなシミや白斑に見えます。
・肌荒れには見えない、とも言えますが。まずは、鈍らメスででも、こすってみて下さい。
　　　意外に剥けてきましたら、まずは間違いございません。むけなかったら菌は少ない。
・蒸し返しておきますとニゾラールR は癜風にこそ効く。だから抗真菌薬というんです。
　さらに今どきに増えてくる、さる業界の 東の正横綱 には、まずはあんまりな薬かも。
　　　──　近親間だからといって親近感だけで一緒にしないでおくれな？もしもし。


●マラセチア毛包炎≒夏期ざ瘡 ─ マラセチアの感染症？なニキビ　
・この連載では ニキビ も肌荒れの一種として扱っています。 夏期ざ瘡 は昔から、
　夏に生じ自然軽快する、痒みのあるニキビとして知られていましたが、近年ではこれも
　　　マラセチアによると言われてます。ポイントは 痒みと紅暈 のある膿疱状丘疹です。
・どうも院長が診た方々らは、同時多発性 が特徴だった気が。典型例は綺麗で立派です。
　　　大きさ 数mm に揃った赤いブツブツで、天辺はポチッと白くて、ちょっと痒くて。
・診断は検鏡です。素では難しく、染色が必須でしょうか。ズ×ムブルーとちぎ今市。
　　　好発部位が、あります。肩です、上背部です、胸です。首下（前胸三角部）除く。
・治療は内服です。毛包内に塗り薬が届くわけねーじゃん？＝ヘ○ーロー○×ション。
　　　唯一の？保険適応薬こんにちは。高価であり診断的治療にわりと勇気を要します。

・以上、院長が背に負ってたものはマラセチアではないと思います。　常在菌ですので、
　もちろん飼ってはいますが。1cm 前後でガサついて盛り上がってたので、違うはずです。


●刺青 いれずみ ─ 肌あれと言うより、肌に現われ　
・院長は 入れ墨 （正式名称＝刺青 しせい）の方の皮膚病も現状、問題なく診療します。
　ときに本来の皮疹が見えにくいこともありますが、そこはそれ、どうにかなります。
　　　ただ、刺青自体は治療対象としないので、ご了承下さい。レーザーがありませんし。
・レ×ザ×外来出身ではあるので、消したい、等のご相談にのることは可能です。
・刺青とは人為的ないしは事故として、真皮浅層に色素が沈着した状態を指します。
　　　本来の墨＝炭素系色素？が消えやすいようです。レーザー治療は、熱破壊ですから。
・人為的刺青はある意味、 脳と皮膚 という近縁？臓器間の最も直截的な結びつきです。
　　　──　だからこそ疾患としての治療対象になっていないのだ、とも思われるのです。


●体幹の痒みと黒ずみ ─ 非露光部位のシミカユミ　
・日本人が知っておくべき新三大・皮膚の黒ずみの成因は 紫外線／擦過／化学物質 です。
　　　　いずれもメラニン産生を亢進し、陰に陽に皮膚浅層の炎症をも引き起こします。
・文明人、の体幹は非露光部位ですが。　それだけに色々あって内に外に黒々してそうな。

　　★光線性花弁状色素斑 Pigmentatio Petaloides Actinica　
・若い人にも急に多発するシミの代表です。 色白 の人が海水浴でひどい日灼けをして、
　　　治ったと安心した頃、肩や背に 一気に多発 し、その後も刻印として残るとか。
・個疹の大きさは 数mm～1cm、トゲトゲした茶色の斑です。一応、治療できるようです。

　　★背部錯感覚症 Notalgia Paresthesia　
・背部の知覚神経は分厚い 筋肉 の層を穿通して皮表に出てきます。筋肉が神経を変に
　　　締め付け（絞扼す）ると、皮膚の方が痒いような変な感じになることがあります。
・肩甲内側寄りに好発し、何かの拍子に元に戻ることが多いようなのでご心配なく。
　　　掻破で生じる色素沈着 ↓ により見て判ることもある、ちょっと面白い疾患です。
　　★摩擦黒皮症 Friction Melanosis　
・院長子どもだった頃、わりとご家庭に一本、ナイロン製の 垢すりタオル がありました。
　今でもあるのかしらん。背中に手が届かん人も多いので、アレを背に負い両手に握り、
　　　めったやたらにがーっ、と往復運動させるのが至上の快感だったそうな。すりすり。
・物理的刺激により肌荒れ＝皮膚炎が起こると、徐々に メラニン が沈着して黒ずみます。
　　　自分では見られない、背中ならではの疾患ですが。似た病態は随所に ↓ あります。
　　★多形慢性痒疹 Prurigo Chronica Multiformis　
・パンツやらなにやら皆さま、なにか穿いていらっしゃるせいか？腰回りは黒ずんでます。
　もともと皮膚が痒くなりやすい人（かってに ジンマシン 的体質、と呼んでいます）が、
　　　なにかで擦過・刺激され、赤い丘疹ができて育てて、痒疹 になることもあるとか。
・おなかや背中、わき腹、太ももに、わりと平らな痒いぶつぶつができたらこの病気かも。

　　★ニッケル皮膚炎 Nickel Dermatitis　
・金属イオンはしばしばアレルゲンとなります。その王様とも言えるのが ニッケル です。
　さまざまな合金に含まれており、汗で溶け出す夏季に 貨幣状湿疹 様病変を生じます。
　　　ただ、ニッケルをたっぷり含むステンレス、は安定で溶け出しにくいので大丈夫。
・最も危ないのがジーンズのボタンです。蒸れる場所に露出しておりイオンの元となり。
　　　わけも判らずヘソの下が荒れる人は、ぜひ一度、 金属パッチテスト 受けて下さい。

・以上、いずれも院長得意なので、ぜひご相談下さい。でも自分で背負っていたものは、
　　　基本かゆみはなく、ザラザラしつつちょっと盛り上がっていたので違う思います。


●体幹の過剰と欠乏 ─ 正常と異常の紙一重　
・腫瘍とは何でしょうか。わりと 見境なく、異常な細胞が増えたものを指すようです。
　しかし、何が正常で何が異常か、決めるのは何でしょう。そしてなぜか、異常なのが
　　　少なすぎる病気はないYO！です。　が、正常なのが少なすぎればそれも病気です。
・異常にも質的（細胞）なのと量的（数）なのと。そこはテキトーに決めま SHOW！すか。

　　★ベッカー母斑　Becker's Nevus　
・肩や胸が好発部位の褐色斑です。　表皮のメラニン色素が過剰ですが、それだけでなく
　　　 毛包脂腺系 が増生する傾向があり、男性では特に剛毛の生えた色素斑となります。
・扁平母斑の亜型すか？　色素過剰なのにメラノサイト過剰というわけじゃないっちゅう。
　とはいうものの 扁平母斑 自体がそもそも謎の疾患であり。　そもそも 母斑 て何すか、
　　　ベッカーなら立毛筋も増えますが。　面皰母斑や平滑筋母斑もまた仲間、ですか。
　　★ケロイド Keloid　
・傷ついて欠落した皮膚を埋め合わせようと、線維芽細胞が 膠原線維 を作りすぎて。
　もりもりと盛り上がった塊をつくり、それを後押しする血管もまた増えて赤々とします。
　　　 外傷 と 毛包炎 が二大誘因のため、肩から背部、前胸部によく生じます。
・安易にメスを入れて取ろうとすると、再発して、前よりもっと盛り上がります？
　　　その振る舞いはたちの悪い腫瘍のようで、それでも腫瘍ではない、のだと思います。

　　★肥満細胞症 Mastcytosis　／　皮膚形質細胞増多症 Cutaneous Plasmacytosis　
・ある種の免疫担当細胞たちが皮膚の局所に多数浸潤し、褐色の斑や小結節が多発します。
・肥満細胞症の方は 色素性蕁麻疹 とも呼ばれ、小児型は大型、成人型は小型の個疹です。
　　　形質細胞症の方は、背部の皮膚割線に沿う、大小の赤褐色斑が特徴と言われます。

　　★尋常性白斑 Vitiligo Vulgaris　
・メラノサイトが テキ と誤認されて傷害を受け、メラニンが欠落して白くなる疾患です。
　頭頚部や手に出ると目立って困るし、 しろなまず という謂われなき蔑称？まであり。
　　　体中どこにでも出るので、体幹では大きな地図状をなすと。これがまた困ります。
・自己免疫性 である以上、炎症性疾患 に分類すべきですが、通常かゆみ等の自覚はなく。
　　　一方、色素欠乏の観点からは 形成性疾患 でもあり。多次元の座標軸があるのです。
　　★皮膚萎縮線条 Striae Atrophicae　
・皮下組織（より深い人体構造物）の 急激な成長 に皮膚サイドが対応しきれない場合、
　　　膨脹の方向に直交した白黒の線状皮疹が生じます。線条部はコラーゲンが不足気味。
・典型例は 妊娠線（←胎児）です。なんか塗るとイイとか言いますが、補填ですか？
　塗って補充できるほど表皮バリアはヤワじゃない？飲んだらちゃんと皮膚に行きます？
　　　──　その辺の思いこみコミの商業的戦術には、正直さほど興味が、ありませぬ。
・思春期の背中（←身長が伸長）、むっちり太もも（←大腿がだ痛い）にも線条ありがち。

・いずれも院長が背負っていたものは違うと思います。実は貨幣状湿疹じゃないかなっと。


●体幹の腫瘍 ─ 背中もまかせて頂戴　
・背部の皮膚疾患は自分で見られないため、また某部位の皮膚病は理性が邪魔するため、
　　　受診が遅れがちになります。病気なら遍く 早期診断・早期治療 の原則があります。
・昔の皮膚病の教科書に、やたら大きい基底細胞癌とか出てくる場合、背中のことが多い。
　　　本気でいけない皮膚浸潤・転移などは、パンツ型だったりすることも多く行けない。
・恥ずかしいとか見て見ぬふりとか。　私もけっこうしてますがソレ。　たぶんブタ。
　　　──　ひとたび病気になれば、そういう問題じゃないのです。　恐らくは暗そお。


●体幹の肌荒れのまとめ ─ 当院の取り組み　
・背中は自分で見られますか？任せられる人いますか？なんか大佐が中尉って感じすか。
・院長そのへんは不問でまいりますので無問題。　ちょっとした不安でもご来院下さい。



★参考作品　
・喜劇悲奇劇：泡坂妻夫　
・軽い機敏な仔猫何匹いるか：土屋耕一（未読）　既にいません狭い荷です。
・心のこり：細川たかし♪　私バカよね。お馬鹿さんよね。耐えてきたのよ今日まで。
・エクソシスト：ウイリアム一派／マイク・オールドフィールド♪
・アブラカダブラ Abracadabra：スティーブ・ミラー・バンド♪　間奏最高。
・マスタニー Master of Ceremony：後藤輝基♪　アンドTBS、アンド、ヤ○○ン・今日わ。
・ブルー・バイユー Blue Bayou：リンダ・ロンシュタット♪　ロイ・オービソン培養。
・刺青殺人事件：高木彬光　エログロナンセンスと理知との遭遇。
・鋼の錬金術師：荒川弘・一派　


★漢字検定　
・きた える　　・せいきゅう な　　・なまく ら　　・かたがた　　・てっぺん　
・ふるまい　　・あまね く　　・ちょうだい　　・もうまんたい　　・はいど×も×　



150601・02・06更新：　
いくつかの単語を置換しましたが見ず無視。　東は白癬、西は、って感じだ。　
東へ西へ 井上陽水。　ニシエヒガシエ ミスタ×チルドレン。　大人と子供、○多毛。

150725更新：　
マタ のリンクがズレてましたので貼りなおしときました～にょろ・ぴく。

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