済・高円寺駅前皮膚科 | 日記 | 巻き爪 ≒ 陥入爪 × 弯曲爪 ─ 爪疾患へのイントロダクション
2014/09/16
巻き爪 ≒ 陥入爪 × 弯曲爪 ─ 爪疾患へのイントロダクション
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陥入爪 ─ お肉と爪の不協和音 ・爪はもともと、端っこがお肉の中に
食い込む ように生えてきます。ここでの端っこは、
伸長方向に平行な辺の部分、爪甲側縁を指すものとします(先端=遊離縁ではなく)。
そこのお肉の溝 みぞ=
側爪郭 そくそうかく には、ゴミがたまりやすいです。
・したがって、ちょっとした物理的もしくは生物的侵襲により、お肉が腫れて痛みます。
爪のカドを切りすぎたり、欠けたりで、尖った爪棘 そうきょく が爪郭に食い込み始め。
雑菌が増えて炎症→お肉の腫れが強まれば、爪もさらに食い込む、という
悪循環。
・これを
陥入爪 かんにゅうそう と呼びます。爪の所が痛む原因として圧倒的に多い。
ただひとつだけ、爪が
巻いてなくても 起こる病気だ、という点にはご注意下さい。
・爪の疾患を論じる際、つめ=爪甲 そうこう そのものの形態や性状が異常なのか、
むしろ周囲の皮膚やお肉=軟部組織が異常なのか、はひとつの目の付け所です。
・陥入爪はたいそう微妙な疾患です。正常な爪甲は、元から側爪郭に食い込んでます。
爪とお肉が絶妙に協調 accord することで、指先の機能は保たれているわけで。
ちょっとしたすれ違いでも、とたんに不協和音 discord を奏で始めるのです。
・爪は日々せっせと伸びてます。微妙な陥入爪なら、ときに自然にも治ります。
自然軽快する疾患は狙われやすい。 日々、
魑魅魍魎も跳梁跋扈 したりして。
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弯曲爪 ─ 爪の“自然”な形態異常 ・爪、伸ばしてみたことありますか? 何センチも伸ばせば、きっと実感して頂けます。
「
爪はもともと、丸まるものである。」 力の加わらないフリーな爪は、弯曲します。
・丸まり方は、縦弯曲(伸長方向)と横弯曲の組み合わせ次第で様々=螺旋状?ですが、
おもて側が凸になる、すなわち「お肉に食い込む」曲がり方が基本です。
爪はケラチンという線維状の蛋白質の塊なので、線維の走り方によるのでしょうか。
・このうち、指趾にまだくっついている爪の
横弯曲が強くなりすぎた 場合を、俗に
「
巻き爪」と言うようです。ただしここでは、純粋な形態異常は
弯曲爪 と呼びます。
※ 過弯曲爪 かわんきょくそう ともいうようです。これに相当するラテン語病名は、
見たことがないので(陥入爪なら Onychocryptosis?)、どなたか教えて下さい。
英語なら
Pincer Nail (
やっとこ爪)、という言い方が気に入っています。
・弯曲爪は、いき過ぎると指先のお肉を挟み込むため、容易に陥入爪を合併します。痛い。
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巻き爪 ─ まとめ: 陥入爪×弯曲爪 ・以上、何を言いたいのか、おわかり頂けましたでしょうか。 巻き爪はおおざっぱに
★
陥入爪 = 軟部組織の腫れと痛み。 爪の形状の異常は問わない。
★
弯曲爪 = 爪甲の過剰な横弯曲。 爪郭の炎症の有無は問わない。
という、二つの病態の組み合わせからなるのだ、と院長は理解しているということです。
・巻き爪の
治療 については現状、百家争鳴ですが。その診断はわりとお寒いようにも…。
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巻き爪の治療 陥入爪 編 ─ コットン法 など ・陥入爪は軟部組織の炎症、とくに細菌やらゴミ(異物)に対する反応が問題ですから、
抗生物質→細菌、消炎鎮痛薬→痛み、を使った方がよさそうですが要らないのかも。
・というのも、腫れては食い込んで、の悪循環なら、とりあえずは食い込む爪棘を、
エイヤッと切れば済んでしまう。 … ただしド壺にはまり、後悔すること多々アリ。
爪を切れば、形の違う爪棘があとに残ります。 ─ あとはまあ
運しだい、というわけで。
・そこを理詰めで解決するのが、東先生の人工爪や、新井先生のガター法です。
詳しくは述べませんが、爪棘を安全に遊離縁にまで導きます。が、手間はかかります。
そこで当院では、伝統のある脱脂綿の繊維を詰める方法、を採用しています。
・
お肉をギュッとね! 押し
下げる、と。いかにも痛そうですが、そこはお任せ下さい。
コットンだけでは何なので、プラスαしてます。実は秘伝は、
麻酔のワザ だったり。
私もう開業医なので、あとは企業秘密ですが。勤務医時代に発表だけはしてます。
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巻き爪の治療 弯曲爪 編 ─ 熱矯正法 など ・純粋な弯曲爪は見た目の問題です。陥入爪を併発した=痛い場合は病気とも言えます。
・そんな不純な弯曲爪も、一般にはワイヤー法(○○ワイヤ)やVHO法(要ライセンス)
で矯正する場合が多いようです。が、どうにも
道具立て が大袈裟?高?すぎて。
・そこを突破した2009年のブレイクスルーが、桑名先生の炭酸ガスレーザー、でしょうか。
しかし当院では、他のあるものを用いて
熱矯正法 と称し、採用しています。
・
爪をギュッとね!押し
上げる、と。いかにも熱そうなので、秘伝の麻酔を使ってます。
私もう開業医なので、あとは企業秘密ですが。O島センセ、使ってみてちょ。
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巻き爪の治療 末広爪 編 ─ フェノール法 など ・以前ワイヤー法を盛んにしていた頃、ビヨーンと広がった爪甲側縁が側爪郭を刺激し、
炎症が持続する(いつまでもジクジクし続ける)、という事例にも出会いました。
・やはりお肉と爪のビミョーなすれ違いなら、
爪だけ 矯正しても治らんこともあると。
とくにヒロス×、ならぬ
末広がり の爪は、質 たち が悪いように感じています。
・そこはバサッと。 詳しくは述べませんが、フェノール法=
保険術式 で行きたい。
爪母をフェノール(表皮毒)で処理して、爪の幅自体を狭くしてしまいましょう。
・先達のご批判ほど、悪くないように思います。が、両側同時は避けた方がいいみたい。
→ 爪が溝から離れると、どうしても曲がって(指の軸から)斜めに伸びがちです。
当院では最小限の爪母廃絶にとどめ、他のワザとの絶妙なブレンドを心がけてます。
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巻き爪の原因と予防 ─ 後療法、について ・陥入爪の第一の原因は
爪の切りすぎ です。爪のカドはお肉より前に出しときましょう。
・弯曲爪の第一の原因は
不適切な靴や歩行 です。とくに外反母趾には気をつけましょう。
・足の形や歩き癖、生活習慣などはおいそれと変えるわけにはいかないことも多く。
そこはそれ、できるだけ再発しないよう。 治療後も、ともに歩んでまいりましょう。
・でもときに、ウオノメほどじゃありませんが再発します。だから、お安くしときまっせ。
・爪はなぜ、わざわざ「お肉に食い込む」ように曲がってくるのでしょうか。
逆に、そのわりに健康な爪(の爪甲側縁以外)は、なんであんなに平らなの?
・人類もけっこう長く続いてますので、これには何か理由があるはずです。 一説には、
裸のサル by モリス でなく、
直立歩行 し、
手指を器用に使う サル、だからとも。
・だから当院では、ハ×ヒー×は避けて、手足はしっかり加重するようお勧めしています。
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当院の取り組み ・炎症や変形の原因とその改善法を見極め、薬剤と手技の絶妙なブレンドを心がけます。
・陥入爪はコットン法、弯曲爪は熱矯正法、+秘伝のアルフアと麻酔を組み合わせます。
・正直、○○ワイヤを懐かしんだり、VH○を羨んだり。 でも欲しがりません克つまでは。
・少なくとも、「
思ったより痛くなかった」というご高評は、おおむね頂いています。
・再発の可能性を常に考慮し、適切な処置と助言を続けてまいります。
★巻き爪を語ることは、爪疾患の診療において、イロハでありモセスンたり得ます。
これからも折を見て、爪という特殊な角質にこだわり続けて参ります。
ご来院、お待ちしております。
本稿と関連の深い日記もございますので、ぜひご一読のほどお願い申し上げます。
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皮膚の付属器の疾患 ─ 脱毛、にきび(ざ瘡)、巻き爪(陥入爪)、などなど
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たこ(胼胝)/魚の目(鶏眼) ─ 実はイボ?ついでに巻き爪も=治療できる足の痛み
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