済・高円寺駅前皮膚科 | 日記 | たこ(胼胝)/魚の目(鶏眼) ─ 実はイボ?ついでに巻き爪も=治療できる足の痛み


2014/03/31
たこ(胼胝)/魚の目(鶏眼) ─ 実はイボ?ついでに巻き爪も=治療できる足の痛み


●鶏眼は不治の病か? ケイガン=ウオノメはフジのヤマイか?
・というタイトルで、むかし勉強会のスライドを作ったこと、ふと思い出しました。 
 三病院(関東中央/都立荏原/日産玉川)の先生方、特に日野先生お世話になりました。
   楽しかったです。 = 会のアイドル、宋寅傑先生もお元気ですか?
   ── さて、内輪ネタはそこそこにして。
胼胝 べんち =「たこ」と、鶏眼 けいがん =「うおのめ」は、角質のやまいです。
 皮膚は持続・反復する刺激(今回なら物理的=擦過や圧迫)に対して、おのれの表面
   (表皮)を守るために、表皮の角質層自体を厚くする防御反応を起こします。
・一部だけ突出した角質肥厚が起こると、尖った角質=角栓 かくせん が、知覚神経の
 痛点をピンポイントで刺激するため、すごく痛くなります。これが鶏眼です。
   一方で被刺激部位全体に、均質に角質肥厚が起こった場合を、胼胝と呼びます。
・したがって胼胝も鶏眼も、下床にのような硬い組織がある荷重部位に好発します。
 具体的には拇・中・小趾の付け根と小趾の関節、が最大の好発部位で、生活習慣により
   足首や膝、手指のペンだこ。意外なところでは小趾の趾間にもよくできます。
足の形歩き癖生活習慣などはおいそれと変えるわけにはいかないことも多く、
 とくに程度の強い鶏眼は、何度とっても甦る「不治の病」の性格が、たしかにあります。

足の裏の「魚の目もどき」 ─ ウイルス性イボは、芯=角栓に血流あり
・ここでウイルス性いぼ=いわゆる「普通のイボ」=尋常性疣贅、に再登場ねがいます。
 体重を支え傷も負いやすい足の裏には、イボが好発し治らないこともよくあります。
   …普通にみているだけでは、間違えることもよくあります…???
・などと皮膚科医が言ったらヤブですが、一般人なら確かにわかりにくい。
 いちおう、物理的刺激を受けにくそうな踵 かかと うらなどに「魚の目」ができたら、
   その正体がイボである可能性を、常に念頭に置いていただく必要があります。
・実は鑑別はかんたんで、いぼの角栓は通常生きた細胞ですから、血流があります。
   また、細胞の並びに独特のパターン=モザイク、を有しやすいのもヒントとなります。

いぼ・たこ・うおのめ ─ 角質けずり、はすべてに共通する治療
・以上おわかり頂けるように、イモタコナンキンならぬイボタコケイガンでは、
 表皮の最外層=「角質」層を削り取ることが、治療のイロハでありモセスンたり得ます。
・院長はこの角質けずりの超エキスパート、を自認しています。他認はされてません。が、
 複数の病院に秘伝の プラスチック・ニッパー を導入させて頂いた実績を誇ります。
   …実は、ケズリワザ自体は、東京警察病院の五十棲先生の直伝だったりします…
秘伝の削り技は、ぜひ実地に体験していただきたいところですが、
 道具としてのニッパーは、むしろホームセンターの工具売り場ででもお買い求め下さい。
   医療用ニッパーの気取りとバカ高さに比べ、必ずや技あり日本を実感して頂けると。
   …が実は、インターネットで買える タミヤ が一番との説も…金子センセ!?ねこ

爪切りは悪魔の所業か?
・角質の病を論ずるなら、角質そのものである爪と毛ははずせません。 
 毛のほうにはあまりニッパーの出番がありませんが、はニッパーの独擅場です。
   というわけで、院長、爪にもたいそうこだわりますが、今回は余裕がありません。
・ひとつだけ、猖獗を極める「巻き爪」の治療にイイタイコトがひとつあります。
 巻き爪、とくにたまたま運悪く肉に食い込む形になった陥入爪に、
   なんでもかんでも「ナントカ」法の自費診療を持ち込むのは、いかがなものかと。
・いずれ論じられればと思いますが、陥入爪は肉と爪の微妙なハーモニーによる疾患です。
・だから、エイヤッと麻酔もなしで爪のカドを切るのも、立派な?治療のひとつです。
 保険診療では「爪甲除去」といって、たしかに微妙な陥入爪の治療としては、
   いまだに、かなり有効な事例もあります。(たまに、ではありますが。)
 ※ ちなみに再診の方にこれをやると、医院側は金銭的にソンをする、とか。
  なんでもかんでもエイヤット切りすぎたせいで、安く叩かれた?のでしょうか。

爪の疾患の診療
・痛くなる爪の病気は、なにも巻き爪だけには限りません。 そもそも巻き爪の専門、
   をうたうならば、爪疾患の病名を、ラテン語で10個は挙げた上で手を挙げよ。
・また悪い癖が出ましたが、つまり診断あってこその治療です。 
 爪に効く薬、というのはなかなか少ないのですが、疾患の性格によっては
   内服や外用の薬物療法を優先します。 物理療法との併用も重要です。
外科的治療のひとつとして、ニッパーによる適切な爪切りは Onychocryptosis 
 以外にこそしばしば有効です。 が、切るか否かの見極めはもっと大切なのです。 
・当院では基本的に、メソッド先導の治療法の選択は 決していたしません。
 罹患指趾の状態をよく観察評価することで、自ずと見えてくる。 そんなふうに
   最適な治療法を提案していけるよう、努力を続けてまいります。 

イボ・タコ・ウオノメ・マキヅメ ─ ぜんぶ、再発!治らない~♪
・なにを言いたかったのかというと、ナントカ法が良いとか悪いとか興味はないと。
・ひとつ挙げれば、Pincer 変形した趾爪に、○○さんにお金払ってワイヤー入れて、
 治ったと思ったら、半年後に同じ変形に戻っていて。 まだ払うの?ということ。
   ドイツあたりの VHO やらの軍門に下るのも、片腹痛く、なくもないわけであり。
・角質疾患は、再発しない、までいかずとも、再発しにくい Modus を模索したいのです。
 まだ答えは出ておりません。 生活指導、外用薬、テーピングや当てもの、…
   要するに、いまどきの言い方をすればフットケア、ですが。
   それでも再発は、します。 だから、そこそこ安くあげたいのが基本です。
・「鶏眼は不治の病か?」というのは、角質にこだわり続けるワタクシの魂の叫びです。
   お医者様でも患者さまでも、迷える魂を、どうぞ救済にいらして下さい。
   ── 毎度のことながら、ほんの冗談半分ではございます。


★今回の漢字検定 
・よみがえる   ・独擅場   ・猖獗   ・もさくスル   ・きゅうさいスル 

いつも以上に固有名詞がうるさく感じられたかとも存じますが、
浮世の義理というものは、確かに、あります。 どうかお許しください。


本稿と関連の深い日記もございますので、ぜひご一読のほどお願い申し上げます。
・ 自費診療 料金表 130801
・ “いぼ取り名人”を目指して
・ 皮膚の付属器の疾患 ─ 脱毛、にきび(ざ瘡)、巻き爪(陥入爪)、などなど


140511更新: 一部リンクを解除しました。

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