済・高円寺駅前皮膚科 | 日記 | 皮膚炎と湿疹:再論 ─ 肌荒れの理論?皮膚科学(2)
2015/02/05
皮膚炎と湿疹:再論 ─ 肌荒れの理論?皮膚科学(2)
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湿疹・皮膚炎群の疾患 ─ 切り口はいろいろありそうです。 ・以前「
湿疹・皮膚炎」というタイトルで、皮膚病の中で一番?偉いんだ(ウソ)、
みたいなことを書きました。 今でも内容は一面の真理をついてる?カモン。知らん。
できればごらん下さい。表皮の炎症性疾患、すなわち免疫系の反応による疾患です。
・皮膚炎も湿疹も「
表皮内を主座とするカユイ炎症性疾患」という定義を共有しますが。
この形容詞
痒い かゆい が、超曲者 くせもの です。実は見逃してはなりません。
・皮膚診断学はなんと言っても
形態学 です。
見 りゃわかる。黙って座ればぴたりとな。
そのために、業界外ではまず通じない隠語を沢山作ったり、変な漢字まで創ったり。
先人の知恵というか、ご先祖様アリガト。少し賢くなりましたが
混乱 もしました。
・とにかく、肉眼で・写真機で・顕微鏡で、今ならダーモスコープで、見ては書き、
書いては驚き、したものです。病名も沢山できました。 でも「痒み」は見えなかった。
もちろん、よーく顕微鏡を見ると、
神経 という細いのが感じてるらしいぞと、ま。
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皮膚炎と湿疹の違い ─ かゆみの有無での分類は可能か。 ・話を元に戻せば、先の日記では 湿疹=原因
不明瞭/皮膚炎=原因
明瞭、としました。
しかし、それだけではなにか割り切れない思いが残る。 やはり湿疹と皮膚炎は違う。
その程度で片付けられないほど、もっともっと違う。 ── そう、
掻き壊し です。
・もちろん掻き壊していない皮疹を「湿疹」と呼ぶこともありますが、教科書を見れば
湿疹には (1)
痒み が必須で、(2)
掻き壊す ことで悪化し、(3) その
結果、完成する。
とまあ、書いてあるはずです。引っ掻いてないと、どうも湿疹とは呼びにくい。
・一方、皮膚炎(代表はかぶれ=接触皮膚炎です)は、引っ掻いていなくても、表皮に
アレルギー的な炎症反応が起これば生じます。掻き壊したか否かは関係ありません。
・例えばひどい接触皮膚炎の場合、ブツブツどころではない、大きな水疱がボコボコ、
ということもままあります。そして問診してみると、痒いを始めとして、痛がゆい、
ヒリヒリする、ムズムズする、変な感じ、……いろんな表現があるものです。
・つまり、
痒くない 皮膚炎、というのは十分あり得るのであって。 私たちが
肌荒れ と呼ぶのは、実は、原因を特定できず・痒いほどでもない皮膚炎であること
も 多い。
── のではないかと。 今回はそんな問題を徒然なるままにつづっております。
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かゆいところに手が届き ─ コージのニンチとピンチ。 ・皮膚炎の皮疹自体は、様々な細胞がコラボした、免疫系による
察知 から始まります。
免疫系が「テキ」をサッチーして、ノムさんが
認知 します。すみません辷りました。
病気、なので、本来敵ではないものを攻撃してみたり多少ズレてます。 認知症?
・そのへんのアンタッチャブルには、あまり突っ込まないで下さい。つまり本来、病気の
症状 の形成過程では、自分の感覚や意識より、無意識の知覚と処理が大切、ってか、
あんまり、我思うような脳神経系は関係なく、やっと最後に認知するくらいです。
・他科領域では「
痛み」などがピンチの認知へのシグナルになることが多いのですが、
皮膚には
見ため もあるので、そこまで待たんがな。 さっさと皮膚科いくがぁ。
だからこそ、よく分かんない「
痒み」がもう一つの重要なシグナルになるのです。
・さて、痒みの解説の肝心なところは自信ないので、よそを当たっておくれなもし。
一応、ヒスタミンとかの生理化学物質と、知覚神経のオーケストレーション?により
生じるようです。 非ヒスタミン経路に活路あるか?レミッチRにアポプロンRや。
・肝心なのは、おもに細い神経によって知覚されること。 感じるのは
知覚神経 です。
それが脳みそまで伝わってやっと、「これは痒みである」と判断されるのです。
・最終判断は
脳 がするんだと思います。最高経営責任者 CEO、ってやつでしょうか。
・痛みと異なり、痒みは今ひとつ危機感に薄く、とりあえず自分なりに
手当て したり。
きもちEので当てた手が、ついつい掻いてしまったり、なんでんかんでんそゆことで。
── 他科の病気より、きっと皮膚病には高次の認知機能の出番が多いのでしょう。
・痒くても、脊髄反射(など、脳を介さない
運動神経 系のレスポンス)は起こらない。
ようにも感じます。 ときどき、気合い入れたりハズしたり、してみて下さい。
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皮膚炎とは ─ ごかってに。 ・だいぶん話が逸れましたが、要するに皮膚炎、が痒かろうと痒くなかろうとご勝手に。
そこ(おもに表皮内)に、特定の炎症反応があれば、病理学的には皮膚炎です。
皮膚炎の結果として、カサカサします。 その先は想像でしかないのですが。
・肌荒れを理解するには、皮膚炎=紅斑・丘疹→掻痒→落屑の理解が欠かせないはずです。
ご自分の手当てがうまくいかなくても。 それで終わりではないと思います。たぶん。
── 次回に続く。ご自身の懐と実感と医者に、相談してみる価値がありそうです。
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皮膚炎と湿疹のまとめ? ─ 当院の取り組み。 ・表皮内を主座とする炎症を、掻き壊せば湿疹、さもないと皮膚炎と呼ぶ傾向があります。
・乾燥肌!と言って簡単に片付けないよう気をつけますが、言ってしまうこともあります。
・お化粧など変身アイテム程度に騙されず、背景にあり得る皮膚炎に留意してまいります。
・もちろん変身なし=素のままが望ましいですガ。最終のご判断は貴
脳 にお任せします。
★参考作品
・かってにシロクマ:
相原コージ。 ぴゃっぴゃぴゃーうりうりうりうりうりぼー。
・昭和枯れすすき:
克也と沙知代。 じゃなかった、さくらと一郎その他。
・あんたのバラード:
世良公則&ツイスト。 アンタの神様、エンタか?でもよい。
・唯脳論:
養老孟司。 解剖学実習アリガト。少し賢くなりをり、I塚先生お元気ですか。
本稿と関連の深い
日記 もあります。お時間がございましたらご参照下さい。
・
湿疹・皮膚炎 ─ 理論皮膚科学の第2か3章 ・
中毒疹 ─ アレルギー“的”な皮膚のお祭り騒ぎ: 薬疹、ウイルス、しいたけ、… ・
痒疹 ─ 慢性蕁麻疹 でなく 慢性湿疹 でもなく。(かつ、いずれでもアリ。)
・
乾皮症・あかぎれ・皮脂欠乏性湿疹・貨幣状湿疹 ─ 肌荒れの理論?皮膚科学(1)
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