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済・高円寺駅前皮膚科 の日記

「治らない」じんましん ─原因の“ない”かゆみ─

2014.01.30

じんましん・蕁麻疹・じん麻疹・ジンマシン…
・じんま疹とは、「かゆみと膨疹が“わけもわからず”出没する」という疾患です。
・膨疹は「真皮内の浮腫(=みずっぽくなる)」による発疹です。
 赤みのある、蚊に刺されたようなぷくっとした発疹で、
   しばしば、みみずばれや、地図状の形態を呈することもあります。
・じんま疹は大きく、「急性」と「慢性」の二つのタイプに分けることができます。
 ★急性蕁麻疹 = 急にかゆみと広範囲の膨疹を生じ、息苦しくなったりもします。
   症状は一過性でも、ときに重篤な症状(アナフィラキシー)に至ることがあります。
 ★慢性蕁麻疹 = 皮膚の部分的なかゆみや膨疹の出没が、だらだらと続きます。
   定義上は「1か月以上にわたって症状が続くもの」を指します。
・特に慢性タイプは、これといった原因が特定できないものがほとんどです。
・物理的刺激(温度変化など)が引き金になることはあります。
   ただしこれは、これは原因ではなく誘因と呼ぶべきでしょう。

今回はそんなじんま疹に対する雑感を、思いつくまま述べてみたいと思います。

じんま疹の原因は?
・じんま疹になると、「なんでこんなのが出るの?」と理由を知りたくなります。
   が、正直ごく少数の例外を除けば、その根本的な原因はふつう特定し切れません。
・現象論的には、「ヒスタミン」という生理化学物質が皮膚の中に増えることで、
   かゆみや発疹といった症状が出てきます。
・その典型的な過程は、花粉症などと同じ「I型アレルギー」によるものです。
   IgEを介する抗原抗体反応が、肥満細胞を刺激してヒスタミンを放出させます。
・ところが、ことじんま疹に関しては、I型アレルギーによる人は実は稀なようです。
・したがって特殊な場合を除いて、「原因を調べるための」アレルギー検査は不毛です。
   それよりもまず、症状出現時に関する詳細な問診が大切です。
・アレルギーを疑うなら、受診前にご自身で各エピソードを書き出してみるようお勧めします。

じんま疹の多くは、アレルギー性疾患ではない 
・最終段階のヒスタミンによる反応は、原則すべてのじんま疹に共通しています。
   つまりアレルギー以外にも、そこに至るいろいろな機構があると想像できます。
・急性蕁麻疹には、感染症などを契機として突然発症するものもよくみられます。
 免疫系が外敵をやっつけるために活性化し、ついでに
   変な方向にまで働いてしまう、という感じでしょうか。
・慢性蕁麻疹には、毎日決まった時間に出ては消える、ということがよくあります。
   朝起き抜けや、夜リラックスしたあと、入浴後、などなど。
 自分では意識できない形で、体調に何らかの変調が起こっている感じ、でしょうか。
・しかしいずれにしても、過度に気に病む必要はありません。
   じんま疹が他の疾患や臓器障害の現われであるケースはめったにありません。

じんま疹の治療 
・じんま疹の治療は内服が基本で、「抗ヒスタミン薬」に分類される薬を使います。
   9割以上の方にはよく効くはずです。たいていは副作用もまずありません。
・出没を繰り返す慢性蕁麻疹の場合、上記の想像通り「体質のちょっとした変調」が
 ベースになっているのなら、いつかは自然に治ることを期待できます。
   (現に、これを書いている院長自身、4年くらい前に突然、慢性蕁麻疹を「発症」し、
   3か月~半年くらい?よく覚えていませんが、勝手に「寛解」しました。)
・したがって、自分に合う薬を見つけて、根気よく飲み続けることをお勧めします。
・一方、急性蕁麻疹の場合、ステロイド内服も含めた強めの治療が必要なことも多く、
  医師としては、病態の判断と治療薬の選択に、その能力が試されるところです。

じんま疹が治らない 
・慢性蕁麻疹がいつまでも続くのは不愉快なものですが、薬が効けばまだ救われます。
 ところが実際には、抗ヒ薬の標準治療に抵抗する治りにくいかたもたくさんおられます。
・その場合の対処法もまた、皮膚科医の腕の見せどころ、とも言えます。
 内服ステロイドや免疫抑制剤など、強い薬で治す方針もなくはありませんが、
   副作用を考慮すると避けたいところです。
・現在では日本皮膚科学会が「診療ガイドラインを明示しておりますので、
   一度ご覧ください。 正直これが絶対ではない、という感じはぬぐえませんが。
   ×××ネット検索でも閲覧できますので一度ご覧ください。×××
・いずれにせよ、治療は対症療法の組み合わせです。
 「変調」は何かのきっかけで元に戻ることも多く、根気よく付き合っていきましょう。

当院の取り組み 
・やみくもな血液検査は原則行わず、医師主導でしっかり問診をさせて頂きます。
・原則としてはガイドラインに沿った治療をしていますが、
 よく行われている「H2ブロッカー」という胃薬(ガスター、ザンタック、…)
   を併用する方法については、あまり信用していません。
・じんま疹のタイプの見極めを重視し、最適な治療をアレンジします。
・ガイドラインにない「秘密兵器」も、いちおういくつか備えております。 

じんま疹が治らなくてお困りの方、一度いらしてみてください。


140304追加: 
「×治療」→「診療」 ガイドラインのリンク(プラスアルファ)を追加しました。


140424更新: 本稿と関連の深い 日記 もございます。どうぞご参照下さい。
・ アレルギー検査について
・ 湿疹・皮膚炎 ─ 理論皮膚科学の第2か3章
・ 中毒疹 ─ アレルギー“的”な皮膚のお祭り騒ぎ: 薬疹、ウイルス、しいたけ、…


150208追加: 
「診療ガイドライン」のリンクが変更されました。 いま気付きましたため、
リンクを貼り直しておきました。

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